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HD650が新品3万! Sennheiser x Massdrop HD6XXをレビュー!

HD650がなんと3万円で購入できる!

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左 HD650 右 HD6XX

開放型ヘッドホンというジャンルのパイオニアであるSennheiserが2003年に発売したフラッグシップヘッドホン、HD650。

かつて発売されていたHD580、そしてその改良モデルのHD600の後継機として登場したヘッドホンです。

その音質は全世界中から高評価を得、今ではリファレンス、標準モデルとして発売から15年近く経った現在でも愛されています。

現在の販売価格は約7万円ですが、なんとほぼ同等、音質がほぼ同じHD6XXというモデルがMassdropというサイトで240$、セールでは216$(さらに会員登録特典で-10$、206$です)と送料を入れても3万円前後で購入する事が出来ます。
しかも以前のHD650の価格は3.5万円だったのですが、2022年に7万円に値上げした事によりHD6XXの優位性が明らかになっています。

画像を見て頂ければ分かるかと思いますが、HD650との違いは本体が未塗装のプラスチック色である事、またケーブルの長さが短い事のみ。
現在にまでに15万台売り上げたベストセラーであり、未塗装が気に入らない場合を除けば、大変お買い得なモデルとなっています。

この記事では、HD6XXのレビュー、また購入方法を紹介していきたいと思います。

 

 

 

Massdrop(現・drop)とは?

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値上げする前なので220$です

Massdrop(現・drop)とは、アメリカの共同購入サイトです。
共同購入サイトとは、まず会員の投票で人気の商品を洗い出し、そしてある程度購入者が居そうだという事が分かった所で、dropがその会社と交渉を行います。
購入者が確定していれば一括でメーカーの製造やdrop仕入れが可能なため、その分単価が下げられるという仕組みですね。
最近流行りのクラファンの中である、「〜を製品化、世に送り出したい!」の有名メーカー版的なイメージで良いと思います。

なお、こう書くと「じゃあもう締め切っていて無理なのでは?」と思われるかと思いますが、HD6XXの様な人気、定番商品は投票に関係なく常に販売しているので、普通の通販サイトと同じように使う事が出来ます。

詳しくは(恐らくこのブログを見て頂く前に見ていらっしゃるとは思いますが)有名レビュワーのSandal Audio氏が書いているので、こちらを見ると良いと思います。

重要!必ず読んでください!

以前は国の欄で日本を選択して進めるとエラーが発生していましたが、2022年4月頃から日本を国に選択してもエラーが発生しなくなりました!
そのため通常の海外通販と同じように国で日本を選択、住所を英語表記で入力すれば15$で国際発送可能です。よって総額は221$(セール時、クーポン適用の最安価格)となります。

これにより代行サービスを使わなくても良くなり、煩雑さや面倒さ無しで気軽に注文可能になりました。


しかし以前も突然日本への発送が不可能になった事があり、一応代行サービスの項目もそのまま残しておきます。

 

 

日本には発送してくれないので、Buyandshipを使います

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この様な理由で大変お買い得なHD6XXですが、残念ながら大きな欠点があります。
それは日本への発送に対応していない事。基本Dropは日本への発送に対応しているのですが、何故かゼンハイザー製品は日本をお届け先に指定すると注文処理が出来なくなります。
(ゼンハイザージャパンは関与していないらしいですが、まあ怪しいですね)
なので転送サービスを利用します。ネット上には色々な転送サービスがありますが、私はBuyandshipという転送サービスを利用します。
Buyandshipはアメリカから直送では無く香港を経由するため時間はかかりますが(約1か月)、2200円(2700円-ポイント500円)というかなりの格安価格で配送する事が可能です。

 

転送までの流れ

  1. Buyandshipに登録
    まずBuyandshipに登録します。前述しましたが、初回登録特典でポイントが500円貰えます。また、登録する事でBuyandshipの倉庫の住所アドレスが発行されます。
  2. Dropのサイトに住所を入力、購入
    Dropのサイトに住所を入力します。倉庫のアドレスはコピペ可能なので、住所入力の時にペーストします。
    発送方法は3種類くらいありますが、そこそこ追加料金がかかるので早く欲しい方はおすすめします。早いプランは全行程をFedexが配送し、最安プランはUSPS(アメリ郵政公社)が都市間輸送を行います。後述しますが、最安プランでは13日でした。
  3. 転送依頼
    ここでBuyandshipに転送依頼を行います。Dropから通知された配送番号をBuyandshipに入力します。これを怠ると荷物確認に時間がかかるらしいです。
  4. ポートランド倉庫へ配送され、そのまま香港に輸送
    Buyandshipの倉庫に配送されます。Dropの倉庫はニュージャージー州、対してBuyandshipの倉庫はオレゴン州ポートランドです。これがどういう事かと言うと、両州はアメリカの両端に位置するため、アメリカ横断コースとなります。
    なので時間がかかるんですね。
    そして自動で香港に輸送されます。
  5. 手数料を支払い。日本へ転送
    香港に到着した時点で手数料を支払い、日本へ発送されます。
    日本への配送業者はDHLか佐川の様です。私は佐川でした。

日本に到着するまで

購入日時は2021年11月20日、そして到着したのは2021年12月25日でした。
クリスマスプレゼントとして購入しましたがまさかの当日着でした(笑)
詳細としては、dropから発送されたのが25日。ポートランド倉庫に7日に到着。
そして香港倉庫が16日に発送し、日本に23日に到着、配送されました。
今回は約1か月で到着しましたが、別のより高い配送業者ならもっと早いかもしれません。

 

 

以上、Buyandshipの話です。正直めんどいのでまた代行サービスを使わなくてはならない状況になって欲しくないです。

 

到着・開封

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という訳で、前置きが少し長くなりましたが開封とレビューに入りたいと思います。
到着状態はこんな感じ。物が大きいからかBuyandshipの袋では無く、いかにも中華な黄色のビニール袋に入ってきました。

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袋を開けると段ボールが。ここにはアメリカでの伝票が貼ってあります。

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箱を開けるとついにご対面。箱はOEMっぽい使い回しとか無地では全く無く、専用のパッケージとなっています。いかにも廉価版らしい、無骨ですがハイセンスなパッケージでこれはこれで良いと思います。店頭に置かれる事は一切考慮されていないですね。
ちなみにこの箱ですが...

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かなり大きいです。

比較用にマッキーペンを置いていますが、2本半くらいの大きさはありますね。
届いた時や箱を開けた時に大きさにびっくりするかもしれません。この大きさだと緩衝材が入っていると思いますよね(笑)

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底面です。2年保証という事になっていますが個人輸入なので適応されないと思われます。
また、今回私が購入したモデルは(少し見づらいですが)ルーマニア製。
これには事情があり、HD650は販売前期(2020年頃まで)はアイルランド製でした。
その後工場がルーマニアに変更。2021年末までルーマニア製でしたが、経営方針の変更でルーマニア工場が閉鎖。2021年末からはアイルランド製に戻ったようです。
しかし私が購入した頃は過度期だったらしく、2つが混在していたようです。
現在はすべてアイルランド製と思われます。

 

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残念ながら箱にはダメージがありました。もうこれは個人輸入する時の宿命みたいなものですし、諦めるしかありませんね。無かったらラッキーって感じです。

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内箱はなんとHD650と同じ高級感あふれる布張りケースを使っています。この画像では見えませんが、きちんと金属製の蝶番まで使われています。
コストダウンのために塗装を無くすという事までもしているモデルですが、こういう所は手を抜かないんですね。むしろ現行のHD650はコストカットで布張りケースではなくビニール袋に変わっており、こちらの方がグレードが上です。
(個人的にはプラスチックケースで2000円くらい安くても良いと思いますが)

f:id:hakuukazuo5:20220127235435j:plain蓋を開けると本体が鎮座しています。
この蓋を開ける瞬間が嬉しいというかワクワクしてたまりませんね。
ヘッドフォン部分が切り取られており、丁寧な作りの化粧箱になっています。
前述した通りかなり大きいのでケースとして使うのは厳しいですが。

 

内容品・外観

内容品です。(ケーブルの置き方が汚いですがご了承ください)

・本体 ・ケーブル(3.5mmジャック、1.8m) ・3.5mm→6.3mm変換ジャック
・取扱説明書 ・保管用ボックス(箱)

となります。

 

取扱説明書はなんと日本語で記述されています。
ちなみにHD650のものを使いまわしているらしくケーブルの長さが3mになっています。
そう、ケーブルの長さも3m→1.8mへ、またケーブルのジャックも6.3mm→3.5mmに変更されています。ケーブルって純正は高いですし、結構コストダウン効果はあると思います。

 

本体です。カラーはミッドナイトブルーという事にはなっていますが、実際はかなり黒っぽい濃い目の紫です。
角度によって黒っぽく見えたりグレーだったり紫に見えますね。

光に当たっている部分は紫色に見えますね。


HD650との外観比較

Eイヤホン秋葉原店に行く機会がありましたので、HD650との外観比較をしてみました。
こうやって比べてみるとHD650がツヤツヤテカテカなのが目立ちます。

ヘッドバンド部のメーカーロゴもHD650ではグレーに明るい白色で目立ちますが、HD6XXは濃い紫に黒色なのでほとんど目立ちません。ここは白色で良かった気がしますが、全体的な統一感を重視したのでしょうか。

HD650はガンメタの塗装でかなりツヤテカなので、好みが分かれる所です。
私個人的にはギラギラして派手であまり好きではなく、HD6XXのシンプルな無塗装なフォルムは気に入っています。

ネット上の他のレビューではプラスチッキーとか、安っぽいとか言われていますが、思ったよりは廉価版感や安っぽさは少なく、最低限のクオリティというか高級品としての上質さはある程度はあると思います。
強力な光を当てれば紫に見えますが、蛍光灯の下では黒っぽい感じで安っぽさはありません。
濃い紫を採用したからだとは思いますが、シックな感じでこれはこれでアリですね。

まあ元から外見を気にしない音質に全振りする人向けのモデルですから、この辺りはそこまで気にしなくても良いのではないでしょうか。好みだったらラッキーくらいの感じで良いと思います。

側圧ですが、私は気になりませんでした。ティッシュ箱に挟んだりしたとか聞いたのでかなり身構えていましたが特にきつくもなく拍子抜けしました。
頭がデカい方だからですかねw

音質について

次は音質の話です。
再生機器はshanling M3Xです。(変えました。後述します。)

hakuukazuo.hatenablog.com

まず開封して最初の箱出しの音。最初一聴したときの感想として

なんだコレ、ひでえ...

というのが感想でした。音は開放型のクセに固まった音で抜けは無く、音の繊細さや分離感は皆無で散々な音でした。

ですがこれは想定通り。ネット上を見て頂ければ分かりますが、HD650シリーズはエージングが必須と言われています。
エージングは否定的意見も多いですが、私はヘッドホンに関しては肯定派です。
特にゼンハイザーのヘッドホンは必須レベルだと考えています。理由は簡単で、過去2回購入してどちらともエージングで音が変化したからです。

エージングは耳が慣れるだけだ、という意見もありますがノイズを鳴らしながら放置しただけなのでそれは無いと思います。
HD650は20時間から一気に音が変わりました。最初の箱出しの音が気に入らなくても20時間は聞いてから判断する事を強くおすすめします。

 

では、およそ100時間エージング後の音のレビューを行いたいと思います。

一聴した感じでは高音域が抑えられており低音寄りな印象。しかし高音域が全く出ていないという訳では無く、分解能が高いのに刺さらない絶妙な塩梅な音です。
マイルドと形容するのが一番でしょう。

そして本当に刺さりが少ない。音量を上げても高音域がうるさくなりません。
聞いていて疲れが全く無く、長時間聞いていても耳への負担が少ないです。
刺さりが少ないヘッドホンを探している方はおススメです。

しかしデメリットを挙げるなら逆にこもりすぎていると感じる方もいらっしゃると思われます。最近のイヤホンとは真逆の音作りになるので、解像度が高い音や鋭い音、鮮明な音が好みな方はおススメしません。そのような傾向が好きな方はK701などが良いんじゃないでしょうか。

特質すべきジャンルはピアノ曲。非常に相性が良く、音の奥行や耳の中で響く感じです。ただ前述の通り音のシャープさはあまり感じられません。
ただクラッシックは...ちょっとこもりが気になるかもしれません。ただ音がまとまっている感じがあって私は好きです。各パートが分類されている高解像度な音が聞きたい!って方は不向きです。

 

他のHDシリーズとの違い

次は他のHDシリーズとの違いを書いていこうと思います。

まず最初はHD650との比較。一応全く同じ音、という事にはなっておりますが
聞いてみると明らかにHD6XXとは音が違うと感じました。何故でしょうか…
6XXの方が高音が出ている気がします。しかも明らかに聞き取れるほど。
プラシーボ効果か? 個体差か?  塗装の差? 製造時期? 理由は分かりませんが自分は感じました。
他の方にも検証していただきたいです。

HD600。音の鳴り方はほぼ同じと言ってもいいと思います。しかし低音と高音域のバランスが明らかに異なります。HD600の方が高音域寄りの音ですね。高音好きな方はこちらをおススメします。又は多少高音域が強くても大丈夫な方ですね。

HD660S。音の根幹であるドライバーが違うだけあって根本から音が違います。
高音域の解像度が現代の曲向けに明らかに向上されており、全体的に解像度が上がっています。ただHD650と比べると疲れやすいかなと思います。

 

参考としてyoutubeのHIFI老韩视听氏の動画を張り付けておきます。
使用する再生機器などで音のバランスが変わってしまいますが全体的なバランスは掴めると思います。HD650はHD600に比べて明らかに高音域寄りな事は聞き取れます。

HIFI老韩视听

 


www.youtube.com

 

ヘッドホンアンプについて

HD650はインピーダンスが300Ωと鳴らしにくいという事が有名ですが、実際はどうなんでしょうか。
所有しているshanling M3Xで検証してみました。

hakuukazuo.hatenablog.com

結論としては、M3Xなら十分駆動可能でした。
特に音量が小さいとかはなく、ボリューム15前後で音量を取る事が出来(バランス接続)、普通に音楽を楽しめるレベルで聞く事が出来ています。
鳴らし切れていない感もありません。

 

しかし、それでもヘッドホンアンプが気になってしまうのが人間の性。
そこでEイヤホンにて試聴を行いました。

 

 

 

はい、買ってきてしまいました(爆)
zen canを買ってきてしまいした。中古で2万円です。
試聴した感じで音のレベルが違ったので買ってきてしまいました。
正直ヘッドホンアンプあっても大して変わらんやろと高を括っていたのですが全然違いました。

今聞き比べるとやはり差があります。一番大きな差は音の広がりや分離感。左右に広がった感じがします。また、低音の解像度が段違い。明らかに粒立ちが良くなり、ハッキリと聞き取れます。
特にオーケストラでは上記2つの面の影響で大きな差を感じます。M3X単体では低音域が籠って聞こえますね。
M3Xも悪くは無いんですが、zen canと比較すると音の広がりや豊かさに欠ける印象です。やはり能率が103dB/mWと良くてもヘッドホンアンプがあるに越した事は無いんですね。
余裕がある方はヘッドホンアンプを購入すると真の実力が発揮できますよ。

(余談ですが、一応zen canにはこの6XX専用チューニングのsignature6XXというモデルがありますが、僕にはイマイチ違いが分かりませんでした。もう少し聞き込めば分かったのかなあ)

 

 

総評

ハッキリ言って名機と言われ15年以上売られ続けている実力は伊達じゃないです。
多くの人から支持されている理由が良くわかるヘッドホンですね。
どんな曲でも聞き疲れ無くオールマイティに再生してくれるモデルです。
2022年の値上げで7万円に値上がりしてしまった今、dropの会員登録が多少めんどくさいですが、国際発送も出来るようになり半額以下の3万円で買えるHD6XXは大きな魅力を持つモデルだと強くお勧めできます。