ゲームのような十字キーを持つDAP、Hidizs AP30

みなさんこんにちは。今回はHidizsから発売されましたHidizs AP30 Music Boyをレビューしていきたいと思います。HidizsはAP80シリーズのDAPの主軸として展開し、すでに4代を重ねています。そんな中で新機軸として登場したのがこのAP30です。
DAPのスマホ化が進む中で、本体の半分に満たない大きさのモニターと、某携帯ゲーム機を強く意識した物理ボタンという、時代に逆行していると言わざるを得ない攻めたデザインとなっています。
むしろそのレトロ感が新鮮さに繋がっているこのAP30ですが、使用感や音といった面はどうなのでしょうか。当レビューでは、その点を徹底的に記載できればと思います。
なお、本レビューではHidizs社からの先行レビュー依頼を受けております。今回レビュワーとして選出して頂いたHidizs社には感謝です。もちろん公正公平なレビューを心がけておりますが、私の深層心理に影響を与えている可能性も否定できませんのでご了承ください。
AP30はKickstarterにて7月23日の日本時間23時30分から先行発売が行われます。Super Early Birdではプラスチック版が85ドル(約13900円)、アルミ版が93ドル(約15200円)となっています。発売日までにHidizs公式サイトから1ドルのデポジットを入金すると、VIP Early Accessに登録ができます。こちらではクラファン終了後に10ドルのキャッシュバックを受けられるため、実質75ドル(約12200円)と83ドル(約13500円)になり、かなりお得な価格となります。
通常販売価格はプラスチック119ドル(約19000円)、アルミ129ドル(約21000円)の予定です。
HIDIZS AP30 Music Boy — VIP Early Access ($1 Deposit)
Hidizsについて

Hidizs社は、2012年に中国で設立されたオーディオメーカーです。
中華オーディオメーカーでは比較的最近に設立されたメーカーですね。

そんなHidizsの代表的商品と言えばこちらのDAP、AP80シリーズ。
日本の大手家電量販店等でも取り扱いがある事から知名度も高く、バランス出力対応、t手軽に使えるコンパクトな筐体、また1.5万円~2.5万円というコスパの良さで人気を博しています。
DAPの知名度が高いHidizsですが、他のDAPメーカーと同様にイヤホンの製造も手掛けています。最近は他メーカーのDAPの勢いに押された影響もあり、イヤホンの発売に力を入れ数多くの製品をリリースしています。
特にMS1rainbowは低価格ながらクオリティが高く、またMP145もあまり注目されていなかったHidizsのイヤホンの知名度をぐっと上昇させるような高クオリティで人気を博しています。
(公式ホームページ→https://www.hidizs.net)
AP30のスペックについて

・ディスプレイ: 2.0インチ IPS HD (解像度 296×240)
・メインSOC: Rockchip RKNanoD
・ DAC CS43198、AMP RT6863
・サンプリングレート: 32bit/384kHz DSD256
・出力: 3.5mm(シングルエンド) + 4.4mm(バランス)
・THD+N: 0.0008% (アンバランス) 0.0009% (バランス)
・出力: 61mW+61mW@32Ω (3.5mm)
220mW+220mW@32Ω (4.4mm)
・SNR: 120dB (3.5mm) 127dB (4.4mm)
・Bluetoothバージョン: 5.3 コーデック: SBC(送信)
・USB DACモード
・ストレージ: microSD、最大256GB
・ディスプレイ: 2.0インチ (296 x 240) IPS
・重さ 大きさ: 56g(プラスチック版) / 83g(アルミニウム合金版) 86x53x15mm
・バッテリー容量: 1100mAh
・稼働可能時間: 3.5mm(PO)-約10~12時間
バランス(BAL)-約8~10時間 / ワイヤレス-約8時間
・OS、操作: HidizsOS、物理コントロール、ALPS製ホイール搭載
・サウンド機能: ゲイン設定、デジタルフィルター、EQカスタマイズ対応
・筐体バリエーション: プラスチック版 / アルミニウム合金版
・その他機能: 内蔵テトリス、電子書籍リーダー
・デザイン・付属品: WDCコラボレーションのクジラデザイン、スマホ装着用マグネットケース
ボタンが付いている、という目立つ点以外での主なスペックは以上の通りです。DACおよびアンプはこの価格帯のポータブルアンプ等でよく採用されているシーラス・ロジックのCS43198、RT6863の組み合わせを採用。アンプは恐らく記載がないので1機です。
外部ストレージは最大256GBのmicroSDに対応。1TB対応のsdカードも珍しくない時代に、少し小さい気もするのですがエントリー機としての割り切りなんですかね。
日本のALPS製ホイール搭載、と書いてありますが、ALPSとは日本のスイッチやセンサなどの電子部品を製造するアルプスアルパインという会社のようです。ホイール兼電源ボタンはホイールが壊れて電源自体が入らなくなる、というトラブルをよく聞く中、日本製部品なら安全材料の一つにはなるのでしょうか。
またテトリスとtxtリーダーソフトが入っています。そのプレイフィールや使用感は果たしてどうなのでしょう...??

カラーリングは全5種類。紫と黒がアルミニウムモデル、それ以外はプラスチックモデルとなります。重量はアルミニウム版の33gほど重くなっています。
また、Hidizsは海洋保護団体であるWhale and Dolphin Conservation(WDC)とのパートナーシップを継続しており、本モデルでは本体の裏側にクジラをモチーフにしたイラストが記載されています。単なる音響機器としてだけでなく、ブランドとしてのメッセージ性も意識された設計となっています。
開封・外観


それでは開封していきたいと思います。パッケージはHidizs標準の黒いものではなく、白色のパッケージ。本体色と同じですが、もしかして中の本体の色ごとにパッケージの色も違うんですかね?

同梱品です。・本体 ・プラスチックケース ・ケーブル(USB AtoCとCtoC) ・マグネット(2つ) ・説明書・保護フィルム(本体に貼り付け済)となっています。
プラスチックケースと保護フィルムが入っているのは中華メーカーらしい手厚い付属品ですね。
マグネットはケースにはめ込む方式なため、本体だけではMagsafeは使用できず、ケースを装着していないとスマホにくっつきません。
保護フィルムは本体に貼り付け済で、予備も入っているとのことですが、なぜか入っていませんでした。ミスですかね?製品版では入っていてほしいです...




本体です。写真だけだとそこそこ大きい印象ですが、マッキーペンの半分程度の大きさと、かなりコンパクトであることが分かります。
SDカードは挿入すると引っ込んて出っ張ませんが、爪楊枝などが無いと取り出せないくらいには奥まります。ちょっとした衝撃で飛び出ないようそれくらいの方が良いかもしれないですが。

背面には前述の通り、WDCとのパートナー活動の一環でクジラのイラストが入っています。かわいいイラストですね。


ケースです。正直マグネットを装着するためのスペーサーという意味あいが強く、サイドが露出しているのでめっちゃ保護される感じはそこまでないです。
あとケースを付けるとギリギリクジラは入りますがメーカーロゴは隠れてしまいます。これは仕方ないかな。

スマホに張り付けるとこうなります。いい感じのサイズ感ですね。磁石の吸着力も割と強く、少し強めに引っ張らないと取れません。そう簡単には外れないのではないでしょうか。
UI・使用感
次にDAPとしての使用感についてです。メイン画面は左上から内蔵SD、テトリス、TXTリーダー、エクスポローラー(原文ママ)、Bluetooth設定、設定です。
ライブラリや再生画面はこんな感じ。中華フォントなので少し怪レしい表記や翻訳がありますが、許容範囲内ですかね。
操作感は0.5秒くらい、ほんの少し遅延がある気はしますがギリギリ許容範囲。メニュー操作するくらいではストレスは溜まらず、ノンストレスです。すこしもっさり感はありますが、イライラはしませんね。
動作確認用にアルバム4枚ほど入れてみましたが、曲送りも1,2秒待つ程度でそこまで待ちません。ただ、検索機能が無いため曲数が多いと少し大変かも。
液晶画面は価格の割にはかなり綺麗で見やすいもの。サイズ感がスマートウォッチの液晶に酷似してるので、もしかして流用してるのかな?と思ったのですが、ディスプレイのサプライヤーと相談の上でパネルを選定しているそうで、単純な流用ではないようです。

ウリの一つのテトリス。先ほど述べた通り絶妙に動作遅延があり、メニュー操作では大丈夫なのですがゲームになると命取りに。かなりストレスです。
そしてなんと現代においておそらく皆無な、下ボタンがハードドロップ(高速落下)。ファミコン版テトリスかな?自分で早く落とす事が出来ず、落ちるのを待つしかありません。ガチャのオマケでも下ボタンで落下速度変えられるのに...
もちろんホールドなんてものはありません。オマケレベルですね。このデザイン見たとき、中身いじってレトロゲーできるようにすれば面白いじゃね?とちょっと思いましたが、スペック的にキツイかも。やり方を模索し始めている方もいらっしゃるので、今後に期待。

電子書籍リーダーです。一応txtファイルを読み込ませてテキストを読めますが、テキストファイルを読めたところで…といったところですね。電子書籍とかではありませんから。



設定系です。再生設定、ゲイン設定(ハイゲインとローゲインの二択)、フィルター設定と割と手広いことがお分かりいただけるとは思います。設定面は割と充実していますので、大丈夫ではないでしょうか。
ボタンに関して。ボタンはかなりクリック感が強く、スイッチを押しているような感覚です。分かりやすく言えば、switchやPS5のコントローラーのような感覚ではなく、マウスやノートPCのようなタッチパッドのようなクリック感でしょうか。
その点においては、ゲーム機とはかなり感覚は異なると思います。
音質面
次に音質面になります。音質は結構カラッとした音というか、良い意味で解像度が高い音がします。ロックではスネアやハイハットの抜けが良く、かつ重みのある音でかなり気持ちが良いです。
ただその分音の丸みというか深み、上質さ、ウォーム感みたいなのは少なく、結構荒々しい音の印象。音の沈み込みも少し弱く、曲やイヤホンによっては少しシャカシャカな感じになる曲もありました。ロックやJ-popは合うとは思いますが、オーケストラなどを聞くには向いてないかもしれません。
比較対象として普段使いしているMuse hifi M5 Ultraと比較してみましたが、AP30の方が圧倒的に高音域寄りでハキハキした音になっており、M5 Ultraより良いな!と思わせれるような曲もいくつかありました。
ただ音同士の分離や音の艶感、密度は明らかにM5 Ultraが上回っており、ここはさすがに価格差を感じさせられましたね。曲の細かな表現を仔細に聞き取れます。その点、M5 Ultraはオールラウンドと言えます。
4.4mmと3.5mmに関しては4.4mmの方が出力・SN比が高いため、音が良い印象。たまに差が酷いDAPもありますが、これはそこまで差は大きくないとは思います。
同じくHidizs製のMP145などもテストしてみましたが、同社製のためマッチするようにチューニングされているのか、M5よりも相性が良いな、と思うような表現も見受けられました。平面駆動は鳴らしにくいですが、出力の面でも十分だと感じさせられました。
デメリット
次に使用していた上で感じたデメリット・微妙なポイントについて触れたいと思います。
①Bluetooth全盛時代に送信しか対応しておらず、有線前提
このDAPにはBluetoothが搭載はされていますが、コーデックがSBCのみ、かつ送信専用となっており、スマートフォンからAP30へBluetooth接続してUSB DAC代わりのように使うことはできません。そのため、sdカードが入る無線イヤホンの母艦として使用しようとしてもSBCのみで音質が悪くなり、DACとして使おうとしても受信が出来ないためスマホとの接続は有線のみという、なんとも言えない仕様です。
このあたりは、音質の面や液晶といったところとトレードオフにしたのかな、と思います。
②1TBのSDも普通になってきた中、256GBまでしか対応してない
では、内蔵sdカードやDACで使おう...と思っても難点がもう一つ。SDカードが256GBまでしか対応していません。昨今は512GBのSDカードや1TBのSDカードも普及してきているので、出来れば1TBにも対応してもらいたかったなと。ハイレゾやDSD音源で曲数が多いと256GBもいっぱいになってしまいますしね。
このような点では、カジュアル向けを狙ったのかもしれないが、少しちぐはぐでどっちつかずな印象です。この2点が搭載されていたら完璧でした。性能と音は良いのに惜しいなあと。
総評
AP30は、一言で表すなら「ゲーム機のように音楽を楽しむDAP」です。
小型ディスプレイと十字キーというレトロなデザインは見た目だけのギミックではなく、実際に操作していても実用性は高いです。一方で、DACやアンプには定評のある構成を採用しており、音質は価格以上のクオリティ。特にロックやJ-POPとの相性は非常に良く、コンパクトながらしっかりとしたサウンドを楽しめます。
ただし、Bluetooth受信非対応やmicroSDが256GBまでといった制限は、2026年のDAPとしては少し物足りない部分です。スマホとBluetooth接続をして気軽に聞きたい人や、ライブラリの数がかなり多い方には向いてないでしょう。
自前の音源の数がそこまで多くなく、かつスマホとの接続を有線で聞きたい、という方にはおススメです。...そんなちぐはぐな人、あまりいなそうに思えますが。
それでも、個性的なデザインと高い音質を両立したDAPは決して多くありません。音楽専用機として気軽に持ち歩きたい人や、レトロゲーム機を思わせる操作感に魅力を感じる人には、非常に面白い選択肢だと思います。
繰り返しにはなりますが、AP30はKickstarterにて7月23日の日本時間23時30分から先行発売が行われます。Super Early Birdではプラスチック版が85ドル(約13900円)、アルミ版が93ドル(約15200円)となっています。発売日までにHidizs公式サイトから1ドルのデポジットを入金すると、VIP Early Accessに登録ができます。こちらではクラファン終了後に10ドルのキャッシュバックを受けられるため、実質75ドル(約12200円)と83ドル(約13500円)になり、かなりお得な価格となります。
通常販売価格はプラスチック119ドル(約19000円)、アルミ129ドル(約21000円)の予定です。
HIDIZS AP30 Music Boy — VIP Early Access ($1 Deposit)


